column
フットサルトレーニングの有用性
私がスペインに行ったときの事、「(Footballにおいて)日本人は器用だ」と行く先々で耳にしました。
しかし、「日本人は上手だ」とはほとんど聞きませんでした。
また実際にプレーした中で、1対1“だけ”であれば、日本人も通用するとも感じましたが、4対4のケース中での1対1では後手に回る事が多かったんです。このとき、日本人は通用するような、そうでもないような...何とも不思議な感覚を受けました。他方面から見ると、Footballで第三種といわれるU-15、U-12の育成年代の選手は、ボールを扱う技術では、世界レベルに対して見劣りしません。また、第一種、第二種世代においては、フリースタイルと呼ばれるリフティング等の技術では、日本人は世界大会で上位の成績を収めています。
日本人が『世界で通用するFootball』。
それにはトレーニングから見直すことが必須だと思います。私が第一優先に改善を考えているトレーニングがあります。みなさんも多く経験してきたであろう、「ドリル式トレーニング」です。
例えば、三角コーン等を目印や障害物に、ドリブルやシュートを繰り返し行う。そして、コーチは必ずといっていいほど、その障害物を“抜けきってから”シュートをするよう要求します。三角コーンやマーカーは障害にはなれば、プレッシャーを発するものでなく、かつ一切状況が変化しない。
日本人はこのようなトレーニングに慣れてしまっている。いや、このようなトレーニングばかりしてきたのです。
周知の通り、攻撃の第一優先はシュートであり、相手がいなかったりシュートコースが空いていれば、常にシュートを狙う意識が必要となる。しかし上記のトレーニングでは目的から外れたトレーニングになっています。当然のことながら試合では、「状況を知り」シュート・ドリブル・パスと「複数の選択肢の中からひとつを選択」し、「パフォーマンスとして実行」しなければならず、トレーニングはそれに沿った内容であるべきです。
トレーニングをする上で、持論のひとつに、GKが一歩も動けない華麗なゴールも、混戦から押し込むような泥臭いゴールも同じ1点。そしてそれが足や身体のどの箇所から放たれたかは問題ではありません。パスにおいても同様に、目標に対して渡れば良い。と思っています。
骨格や筋力や足の大きさなど、様々な異なる部分がある中で、「軸足はボールから○○離れた△△の角度に置いて・・・」というのは正しいコーチングとは思えません。勘違いして欲しくないのですが、ある程度の「カタチ」は必要で、目標の達成(シュートやパス)のためには、反復した試行錯誤が必要と思っています。そしてそれが、クローズの(閉ざされたプレッシャーのない)状況でなく、オープンの(実践に近い)状況で行われるべきだと考えます。もちろん、これからフットサルやサッカーをやろう!と思っているこどもや、おとなに対しても同様に必要だと思います。それは「成長を感じる」ことが、楽しさや継続への活力となるからです。
フットサルはこの状況にとって、うってつけな競技ではないでしょうか。ピッチの広さはサッカーのおよそ1/6、人数はおよそ半分です。これから想像できるように、人口密度が高くなります。=常にプレッシャーのかかった状況でプレーします。これだけ聞くと、難しさが先行してしまいますが、他にも条件が異なります。大きなところでいうと、オフサイドが無い、交代が自由なところが挙げられます。これにより、体力面の不安、細かいルールに対する不安が解消されると思います。
先に述べたように、「状況の認知」、「複数の選択肢からの決断」、「プレーの実行」が必要です。フットサルではその過程全てにおいて、「速さ」が伴います。これを繰り返す事で、サッカーにも必要なスキルを身に付ける事ができると思っています。
しかしそれは簡単なことではありません。「適切な条件付けとコーチングができる」人材、つまりフットサルを理解している指導者がまだまだ不足していることです。現在私は、ヒューマンアカデミーという専門校でフットサルのコーチとして、フットサル界を担う人材の育成に携わっています。日々のコーチングが、未来のフットサル界を牽引し、敷いてはFootball界を牽引する人材に繋がると信じています。 逆にそれがプレッシャーになったり、様々な課題より挫けそうになることもありますが、それを乗り越えるべく常にチャレンジしていきます。そうすることが、より良いコーチングへ繋がるのではないでしょうか。
最後に。
私はスポーツを通して成長してきました。なかでもFootball、そしてフットサルという競技に魅せられました。そして人生の全てをFootballと一緒に過ごしたいと思うようになりました。自分の経験や学んだことから、ひとりでも多くのプロフェッショナルが育ち、ひとりでも多くのプレーヤーが増えることを心から願い、これからもボールを追いかけていきたいです。
■永田望(ながた・のぞむ)
プリマヴェーラ東京フットサル/U-20カテゴリー アドバイザリースタッフ
Human Paella Futbol Sala(ヒューマンアカデミーフットサルカレッジ) 監督
フットサル・サッカーの指導12年目。(カテゴリー8/10/12/15)
元フットサル福岡県選抜コーチ。ブーメランインテルビューフットサル研修修了。
フットサル日本代表監督によるフットサル指導者研修修了。
豊富な知識と、堅実な指導力でチームに新たな風を吹かせる。答えから入る指導法や、雰囲気作り、さらにはその場面ごとの心理状況までをもメニューに加えるアドバイザー的指導者。2010年より協力。
しかし、「日本人は上手だ」とはほとんど聞きませんでした。
また実際にプレーした中で、1対1“だけ”であれば、日本人も通用するとも感じましたが、4対4のケース中での1対1では後手に回る事が多かったんです。このとき、日本人は通用するような、そうでもないような...何とも不思議な感覚を受けました。他方面から見ると、Footballで第三種といわれるU-15、U-12の育成年代の選手は、ボールを扱う技術では、世界レベルに対して見劣りしません。また、第一種、第二種世代においては、フリースタイルと呼ばれるリフティング等の技術では、日本人は世界大会で上位の成績を収めています。
日本人が『世界で通用するFootball』。
それにはトレーニングから見直すことが必須だと思います。私が第一優先に改善を考えているトレーニングがあります。みなさんも多く経験してきたであろう、「ドリル式トレーニング」です。
例えば、三角コーン等を目印や障害物に、ドリブルやシュートを繰り返し行う。そして、コーチは必ずといっていいほど、その障害物を“抜けきってから”シュートをするよう要求します。三角コーンやマーカーは障害にはなれば、プレッシャーを発するものでなく、かつ一切状況が変化しない。
日本人はこのようなトレーニングに慣れてしまっている。いや、このようなトレーニングばかりしてきたのです。
周知の通り、攻撃の第一優先はシュートであり、相手がいなかったりシュートコースが空いていれば、常にシュートを狙う意識が必要となる。しかし上記のトレーニングでは目的から外れたトレーニングになっています。当然のことながら試合では、「状況を知り」シュート・ドリブル・パスと「複数の選択肢の中からひとつを選択」し、「パフォーマンスとして実行」しなければならず、トレーニングはそれに沿った内容であるべきです。
トレーニングをする上で、持論のひとつに、GKが一歩も動けない華麗なゴールも、混戦から押し込むような泥臭いゴールも同じ1点。そしてそれが足や身体のどの箇所から放たれたかは問題ではありません。パスにおいても同様に、目標に対して渡れば良い。と思っています。
骨格や筋力や足の大きさなど、様々な異なる部分がある中で、「軸足はボールから○○離れた△△の角度に置いて・・・」というのは正しいコーチングとは思えません。勘違いして欲しくないのですが、ある程度の「カタチ」は必要で、目標の達成(シュートやパス)のためには、反復した試行錯誤が必要と思っています。そしてそれが、クローズの(閉ざされたプレッシャーのない)状況でなく、オープンの(実践に近い)状況で行われるべきだと考えます。もちろん、これからフットサルやサッカーをやろう!と思っているこどもや、おとなに対しても同様に必要だと思います。それは「成長を感じる」ことが、楽しさや継続への活力となるからです。
フットサルはこの状況にとって、うってつけな競技ではないでしょうか。ピッチの広さはサッカーのおよそ1/6、人数はおよそ半分です。これから想像できるように、人口密度が高くなります。=常にプレッシャーのかかった状況でプレーします。これだけ聞くと、難しさが先行してしまいますが、他にも条件が異なります。大きなところでいうと、オフサイドが無い、交代が自由なところが挙げられます。これにより、体力面の不安、細かいルールに対する不安が解消されると思います。
先に述べたように、「状況の認知」、「複数の選択肢からの決断」、「プレーの実行」が必要です。フットサルではその過程全てにおいて、「速さ」が伴います。これを繰り返す事で、サッカーにも必要なスキルを身に付ける事ができると思っています。
しかしそれは簡単なことではありません。「適切な条件付けとコーチングができる」人材、つまりフットサルを理解している指導者がまだまだ不足していることです。現在私は、ヒューマンアカデミーという専門校でフットサルのコーチとして、フットサル界を担う人材の育成に携わっています。日々のコーチングが、未来のフットサル界を牽引し、敷いてはFootball界を牽引する人材に繋がると信じています。 逆にそれがプレッシャーになったり、様々な課題より挫けそうになることもありますが、それを乗り越えるべく常にチャレンジしていきます。そうすることが、より良いコーチングへ繋がるのではないでしょうか。
最後に。
私はスポーツを通して成長してきました。なかでもFootball、そしてフットサルという競技に魅せられました。そして人生の全てをFootballと一緒に過ごしたいと思うようになりました。自分の経験や学んだことから、ひとりでも多くのプロフェッショナルが育ち、ひとりでも多くのプレーヤーが増えることを心から願い、これからもボールを追いかけていきたいです。
■永田望(ながた・のぞむ)
プリマヴェーラ東京フットサル/U-20カテゴリー アドバイザリースタッフ
Human Paella Futbol Sala(ヒューマンアカデミーフットサルカレッジ) 監督
フットサル・サッカーの指導12年目。(カテゴリー8/10/12/15)
元フットサル福岡県選抜コーチ。ブーメランインテルビューフットサル研修修了。
フットサル日本代表監督によるフットサル指導者研修修了。
豊富な知識と、堅実な指導力でチームに新たな風を吹かせる。答えから入る指導法や、雰囲気作り、さらにはその場面ごとの心理状況までをもメニューに加えるアドバイザー的指導者。2010年より協力。