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舞台とフィールドの共通点~感動を生む総合芸術


舞台とフィールドには共通点がある。私が主戦場としているクラシックバレエと、プリマヴェーラ東京が活躍の場としているサッカーやフットサルの共通点を考えてみよう。


クラシックバレエには、プリンシパルやソリストというように舞台の中心となる主役を踊るダンサーがいる。
一方サッカーやフットサルには、主に得点を決めるエースストライカーや、そのエースにパスを供給するパサー(司令塔)が存在する。

クラシックバレエにしてもサッカーにしても、舞台やフィールドでスポットライトを浴びる人達がいる。
多くの人は、プリンシパルやエースストライカーにばかり目が奪われてしまう。

しかし、舞台を作るにしても、試合をするにしてもひとりでは不可能である。舞台やフィールドは多くのダンサーや選手によって成り立っており、何よりもダンサーや選手以外に、舞台やフィールド支えるスタッフ(クラシックバレエ:ダンサー、芸術監督、舞台監督、照明、衣装部、指揮者、オーケストラ、観客 サッカー:選手、監督、コーチ、トレーナー、審判、観客・・・など)がいて初めて成立するのだ。


このように自分中心ではなく多くの人々に支えられて今の自分がいると思えるようになるには月日が必要だった。
正直わかりきった事であり、当たり前だと思っていた。でも本当に理解が出来たのは、ここ最近のことだ。

ここまで言い切れるのも、今まで立ち止まることなくバレエと生きてきて、今までの自分や今の自分、これからの自分と向き合うキッカケがあったからだと思う。私は今現在バレエ団に所属しプロとして活動しているが、体調不良により昨年一年間はバレエから離れ、バレエが嫌になり、クラシック音楽ですら聴けなくなるほどであった。この一年多く関係者をはじめとする人々に支えていただいた。バレエを休んで半年ほどたち、発表会のお手伝いや他の発表会を見に行ったとき、自分のバレエに対する気持ちや私の理想とする舞台が明確になった。さらには、舞台が多くの人々によって創られていることも改めて実感した。


クラシックバレエもサッカーも全体的に見て考えると、熊川哲也や吉田都が在籍していた一流のバレエ団(英国ロイヤルバレエ団)やバルセロナ・マンチェスターユナイテッド・インテルなどの強豪チームの動きは美しく、一流ダンサーと言われる熊川哲也や吉田都の踊りと、一流プレーヤーであるメッシやルーニー、スナイデルなどの動きは美しく、無駄のないプレー(動き)を見ることが出来る。サッカーと美しさは、一見遠い存在に思えるが、実はバレエやオペラなどの芸術と共通な点も多い。


ダンサーが持つ見るものに与える美しい動きや感動・興奮という観点と、スーパースターの素晴らしいプレーを見たときに味わう美しいプレーや感動・興奮は、総合芸術といわれるクラシックバレエを見たときの感覚とそう変わらない。